女性の地位が低かったフランス革命時代に成功した天才占い師マドモアゼルルノルマン
マドモアゼルルノルマン(マリー・アン・アデレード・ルノルマン)は
1772年ノルマンディー地方にあるアランソンの商人の娘として生まれました。
幼いころに実母を亡くしたり、初めの義母もなくなり、次の義母にはいじめられ
実父もなくなり、そして預けられた寄宿舎を追い出されたりと、
家族環境に恵まれなかったルノルマンは
占い師になってからも、その占いのあまりの的確さを恐れられて投獄されたりと
普通の人であれば、気が変になってもおかしくないくらいの数々の不遇な出来事と
共に生きてきました。
でも彼女はそんな逆境をものともせずに、天性の鋭い直観力や明るさ等を発揮して
パリのサンジェルマン地区という一等地にサロンをかまえ
市井の女性ながら後世にまで知られる天才占い師として大成功をしました。
女性の参政権がなく、女性の地位が低かったフランスで
彼女の葬列は大規模で華やなものだったことからも、その成功ぶりが彷彿とされます。
有名になってからは、アパートや別荘、お城等も所有し
顧客の中には、国内外の王族や有名政治家、芸術家や俳優等がいたと言われ
鋭い直観力と先見の明はもちろんのこと
計算力・商才・コミュニケーション力に長けていたマドモアゼルルノルマンは
ここ!という時には、ロンドンへ学びに行ったり(しかも宝くじを当てて)
ベルギー等に呼ばれて仕事をしたり、フランス革命勃発時には安全なロンドンにいたのに
この時だからこそパリで仕事をしなければ!と激動のパリに舞い戻るなど
俊敏な行動力で、自分を最大限に生かす場に移動する達人だったことが
その大成功の秘訣の一つだったと言えるでしょう。
フランス革命時代に身分の分け隔てなく人々に勇気と叡智を与えたマドモアゼル・ルノルマン
知り合ってまもない無名の女性と一介の兵士である男性の
結婚と出世する未来をリーディングしたことから
のちにナポレオン皇妃となった、その女性ジョゼフィーヌが
絶大な信頼をよせたマドモアゼル・ルノルマンのカードリーディングは
激動の時代を生き抜く指針として
革命家や著名人、それから市井の人々にまで
分け隔てなく勇気と希望、そして知恵を与えました。
革命前後のフランスは
男性を立て家庭を守るのが務めとされており女性の地位が低かった時代です。
ただ、本音と建て前的な面があったのか
実際には様々な女性達が、各々の知恵と才覚を活かして活躍しており
知識階級の女性が開いたサロンは、男女問わず盛況だったと言いますから
男性達も知性的で頼もしい女性を求めていたことがわかります。
そして生きるための美意識を高めることができるサロンは
人々にとって人生の指南を受け取ることができる大切な場所でした。
そういう背景の中で
要人達に影響力があったルノルマンのリーディングのサロンは
相手の本音を見抜いた上で激動の時代を生き抜く知恵を受け取ることができて、
そして時代を見通すことができる場として、人気が高かったのでしょう。
明るく逞しいルノルマンは、頼りがいのある女性として信望を集めたのでしょう。
マドモアゼルルノルマンのサロンは、ルクサンブル宮殿の目と鼻の先にありました。
現在もわかっているサロンがあった場所へ、私も仲間達と実際に行ってきましたが、
そこは本当にルくサンブル宮殿へ数分で移動できる場所でした。
サロンと宮殿のその場に立ち実際に移動もしてみると、
当時の人々が駆け込む姿が、そしてその足音までが
まざまざと浮かんでくるようで、まるでタイムスリップをしたかのようでした。